第60回自然観察会(豊田市自然観察の森)の報告

自然保護委員会

 5月11日(日) 心地良い5月の青空と爽やかな風に包まれ、第60回の自然観察会を実施しました。当初予定の乗鞍青少年交流の家が使えなくなり、急な変更のため参加者は若干少ない、3団体19名。午前中は昨年秋にもお世話になった地元「あべまきの会」の皆さん、午後は豊田市自然観察の森の職員の方の案内で園内を散策しながら観察会を実施。「あべまきの会」の皆さんは人数も多く集まっていただき、丁寧な案内と、園内を広く回っていただき、本当に熱心なご指導に感謝しかありません。午後からはセンターの職員の方々の案内で、目線を変え、動物の痕跡を求めて園内を歩きました。「ありがとうございました。」おかげで印象深い有意義な一日を過ごすことができました。

参加者の感想(岡崎山岳会 長原美樹)

 森の中に入ってすぐに説明、エゴノキがあり、この葉に虫が卵を産みつけ、見事にくるりと丸めていた。それを揺籃(ようらん)というとのこと。実はヤマガラしか食べない。ちょうど下向きに咲く白い小さな花が満開でとても綺麗でした。

 遠くにある新緑の時期に金色に見える木はツブラジ、今咲いているツツジはモチツツジで花の下がベトベトすること、そして特に印象に残ったのはタンザワウマノスズクサ。独特な形状で、必要に応じて中に入った虫を出したり出さなかったり、ジャコウアゲハの幼虫がこの葉を食べて毒を体に貯めるなど、植物だけでなく関連する生物についても詳しく解説していただきました。

 また、森の極相についても学びました。樹木は実は競争が激しくて、樹齢が比較的短いヤマザクラ、アベマキ、コナラなどの樹木がなくなると、最終的にはシイやカシだけの森になってしまうそうで、ヒトが手を加えることもあるそうです。植物や昆虫、鳥の話はとても楽しく、実際に植物を触って匂いや手触り(ビロードのような葉)を体感するなど、あっという間に時間は過ぎました。

 山へ入った時、木の1本1本まで見ていませんでしたが、よく見るとこんなにたくさんの種類があることがわかり、今後の山行が楽しみになりました。最終目的地の一番奥にあるトンボの湿地では初夏に、ヒメミクリ、クロミノニシゴリなど、絶滅危惧種や東海丘陵要素植物など、珍しくココでしかみられない花が咲くとのことで、また行ってみたいと思いました。アベマキの会と自然観察の森の皆様、そして幹事の栗木様、ありがとうございました。

参加者の感想(やまびこ山想会 瀧澤 初恵)

 新緑の森の中は新しい巣箱(ムササビと野鳥用)が設置され、足元にはムササビの食痕(葉っぱを半分に折ってかじってあった)があり、頭上は野鳥の鳴き声。ツブラジイは雄花が満開。エゴノキの葉っぱにオトシブミの揺籃(虫のゆりかご)がいっぱい。くりくり目玉のあるアケビコノハの幼虫。午前中は「あべまきの会」のガイドさんから動植物の生態を教えていただきあっという間に時間が過ぎました。

 午後はセンターの指導員さんと森を観察。トンボの湿地に着くと鹿の足跡がいくつかありました。センターの広場も夜はイノシシやタヌキが来ているそうです。湿地は外来種のメダカにそっくりなカダヤシが増え駆除が必要とのことでした。湿地の生態系の維持や、絶滅危惧類、また森の手入れのたいへんさなどもガイドさんより伺いました。この自然観察会を機会に山行に行った時ももっと動植物のことを学ぶ姿勢を持ちたいと思いました。ありがとうございました。